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賃借人(借主)の退去時の原状回復義務を明確化(2019年2月17日掲載)

 

原状回復義務とは、家やアパートを借りた後、退去するときには、借りた家や部屋を借りたときの状態(元の状態すなわち原状)に戻して返還しなければならない義務です。

しかし、通常、家やアパートを借りれば、短くても数年、長ければ10年以上とかの長期間に渡って借りることになります。そうなれば、当然、家やアパートも古くなってきます。

原状回復義務が、借りたときの元の状態に戻して返還する義務ということであるなら、古くなった家やアパートを新品の状態にして返還しなければいけないのかということになってしまいます。

いくら何でもそれはおかしいということで、最高裁判所の判例などでも、「長年使用してきた畳や襖や壁や床などが古くなるのは、建物を使用するということに当然に伴う通常損耗・経年変化であるので、これらは、家賃をもらっている賃貸人(貸主)が自分の費用で修繕すべきである。したがって、預かっている保証金や敷金と相殺できない。」等々の判断をしています。

また、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を公表し、通常損耗・経年劣化と言えるようなものについては、賃借人(借主)がそれを新品にする義務がないということを明確にしています。

ところが、今までの民法では、賃借人(借主)には原状回復義務があるということだけ規定されていて、その中身については全く規定されていませんでした。

これを今回の民法改正では、

「賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年劣化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、そのその損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りではない。」(新621条)

と改正されました。

新621条の本文のかっこ書きの中で、通常損耗・経年劣化原状回復義務の範囲にならないことを明言し、新621条のただし書きで、損耗などがあっても、その損耗が賃借人(借主)の責任によって発生したのでなければ責任がないと明言することになりました。

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