リアルバリュー法律事務所での解決事例です。

当事者の特定を避けるため、

いつ頃の案件かが分からないように年月日などは

伏せます。

また、事案の本質を変えない程度に事実関係を

変えてあります。

 

個人として販売した建物に欠陥があったため、

買主から契約解除されて、売買代金を返せと

請求されただけでなく、

勤務先までが損害賠償請求された事案です。

欠陥建物の売主とその勤務先が私の依頼者と

いうことになります。

 

実は、勤務先とは売主家族が経営する

宅建業者(不動産業者)で、

売主は、この宅建業者宅建士として働いて

いたというものです。

 

売主は、勤務先とは全く関係無く、個人として

建物を売ったのですが、

勤務先である家族経営の宅建業者も、この建物売買に

関わっていたとして損害賠償請求され、訴えられました。

 

ただ、相手方は、従業員のミスの責任を使用者(雇用者)

が問われるという場合の勤務先使用者責任を全く争わず、

勤務先欠陥建物の売買に直接関わったとして、

勤務先が直接不法行為をしたことを理由に、

損害賠償請求してきました。

要するに、勤務先が欠陥建物を売るという悪いことを

したから、その損害を賠償しろという請求です。

 

このように、

相手方が勤務先の責任を、勤務先がやった不法行為

の責任として問うてきたので、

こちら側は、欠陥建物を売ったのは、あくまでも売主

個人であり、勤務先は関係ないということを

多くの資料(文書、図面その他)を証拠として提出して

立証しました。

はっきり言って、相手方が使用者責任を全く争ってこな

かったので、勤務先に関する主張立証は楽でした。

勤務先が建物売買に関わっていないということだけ

立証すれば良かったので。

使用者責任を問われると、依頼者が勤務先の仕事として

建物売買したのではないということまで主張立証する必要

が出てきて、こっちを主張された方が大変だった可能性

があります。)

 

また、訴訟の中で、こちらから、

勤務先が相応の代金を支払って、建物買主である相手方から

建物を買い戻すという和解案を提案しました。

勤務先は、売主家族経営の宅建業者だったので、勤務先

から、このような和解をしても良いと言われたからです。

しかし、

相手方は、欠陥建物なので、勤務先に売るという和解をしたら

勤務先から相手方に対して、瑕疵担保責任(契約不適合責任)

を問われる可能性があると言って、和解案を蹴ってきました。

 

相手方がこの和解案を蹴ってくるのはあまりにも予想外でした。

 

なぜなら、その時点では、売主本人は、ほとんど無資力な

ため、仮に売買契約解除を裁判所が認めても、

相手方が支払い済みの代金を売主本人から回収できる見込みが

小さく、かつ、売主勤務先直接不法行為責任が裁判所に

認められる可能性も小さいだろうと思われたからです。

すなわち、

勤務先が相手方から建物を買い戻せば、相手方は売買代金相当

の金額を回収することができ、契約解除をした場合以上の成果

を得ることができたはずだからです。

相手方が言う、瑕疵担保責任(契約不適合責任)を勤務先から

問われる可能性があるから嫌だというのも、

瑕疵担保責任(契約不適合責任)を問わないという条項を

和解条項に入れれば済むことですし。

 

結局、裁判手続内での和解交渉は、相手方から蹴ってきたため

に決裂し、判決となりました。

判決は、相手方の請求である売買契約の解除を認め相手方が

買った建物を売主に引き渡すことと引換えに、売主が相手方

に売買代金を返還しろというものです。

勤務先に関しては、建物売買に関する責任は全く無いという判断

請求棄却となり、完全勝訴の結果になりました。

相手方は、控訴しましたが、控訴判決の内容も同じでした。

結局、相手方は、現在、売主に資力がないため、判決だけ取って、

後はどうしようもないという状況になってしまいました。

 

未だに、相手方がどうして有利な和解案を蹴ったのか

理解できません。不思議です。