リアルバリュー法律事務所での最近の解決事例です。
当事者の特定を避けるため、いつ頃の事件かが分からないように
年月日などは伏せます。また、事案の本質を変えない程度に事実関係を変えてあります。

昔の詳細な経緯は分かりませんが、
私の依頼人が、自分の家の庭を花壇にしたり、物置を置いたりして使っていたところ、
隣の土地の所有者から、
「俺の土地にはみ出ているので、俺の土地にはみ出ている部分は、花壇や物置を除去して土地を返せ」
と突然言われた案件です。

隣の土地の所有者とは、あまり付き合いがなく、それまで特に仲が悪いというわけでもなかったのですが、
何かのきっかけで、隣の土地の所有者が、公図や測量図面を住宅地図や現場と照らし合わせてみたところ、
花壇や物置が隣の土地にはみ出ている、それも、2mほどもはみ出ているというものでした。

相手方は、自己の土地の所有権に基づく妨害排除請求訴訟を提起して、
隣の土地にはみ出ている部分を全部除去しろと要求してきました。

これに対して、こちらは、はみ出ている部分について取得時効を主張して、
はみ出ている部分を分筆して登記名義を相手方から依頼人に移せという反訴を提起しました。

この反訴提起は単純ではありません。

一筆の土地全部について取得時効を主張するのであれば、
何丁目何番の土地を時効取得したので、この土地の所有名義を依頼人に移せという請求だけで済みますが、
この反訴は、一筆の土地全部ではなく、隣地の一部にはみ出ている部分の時効取得ですから、
はみ出ている土地を特定しなければなりません。
すなわち、隣地のうち、どの部分の時効取得を主張するのかを明確にしなければなりません。

隣地の土地の一部にはみ出ているだけなので、隣地全部の時効取得を主張するのは無理だからです。

しかし、ただ単に、花壇や物置がはみ出ている部分の時効取得を求めるとするだけでは、
その部分の分筆ができず、判決をもらっても時効取得の登記ができません。

そのため、土地家屋調査士に依頼して、はみ出ている部分についての確定測量をしてもらい、
その測量図で示された点ABCDで囲まれた部分というように、時効取得する部分を確定させました。

通常、確定測量をするためには隣地所有者の立会などの手続や、
測量のために土地家屋調査士が隣接地に立ち入るということが必要になったりします。
しかし、
本件では、こちらが時効取得を主張していることのために訴訟の相手方である隣地所有者が協力するはずがありません。

そのため、土地家屋調査士と相談して、相手方の協力無しに確定測量を済ませました
が、この確定測量だけで70万円以上の費用がかかりました。

相手の所有権に基づく妨害排除請求に対する抗弁として時効取得を主張するだけならここまでの必要はありませんが、
時効取得に基づいて登記名義の変更まで求める訴訟を提起する(本件では反訴)のであれば、
勝訴した後に登記ができるようにするために確定測量をして、どの部分を時効取得したのかを特定しなければなりませんので、
測量費などの費用が結構かかるということになります。

他にも、この訴訟では、はみ出ている部分について、昔からはみ出ており、その状態がずっと継続していることを示すために、
昔から現在に到るまでの航空写真を証拠として提出したりしました。

そして、結局、この訴訟では、時効取得が認められて全面勝訴の判決を得ることができました。