遺留分減殺請求で不動産鑑定評価書を提出して有利に(2019年2月25日掲載)

これも遺留分減殺請求に関する事案です。この案件は、私の依頼人が原告として遺留分減殺請求の訴えを提起したものです。

姉妹のうち、姉が遺言によって全ての相続財産を相続することになった案件で、その遺言書も姉が無理矢理に書かせたのではないかという疑いがありましたが、遺言書の効力自体を争うのは非常に難しいため、妹が遺留分減殺請求をしたものです。

当初、この案件は、調停申立をしていたものですが、調停では、相手方は、相続財産のうち、不動産の評価について、非常に低い査定額で評価することを一貫して主張していました。そのため、調停では全く折り合いがつかず決裂して、訴えを提起することになったわけです。

遺留分減殺請求をする原告の立場なので、当方としては、相続財産である不動産の価格が高ければ高いほど、もらえるものの額が大きくなるという場合でした。

そして、訴えの提起にあたっては、不動産の評価に関する証拠として、当初は、大手の不動産業者による査定書を提出していました。

しかしながら、相手方は、不動産業者による査定書は、不動産評価の客観的証拠にならないと反論し、相手方が提示する低い査定額が妥当であると主張してきました。

この時点で、相手方は、当方が不動産鑑定評価書を出せないので、無理に低い査定額を主張していれば、かなりの程度こちらが折れて、相手方に有利に和解ができるだろうという試算があったようです。

というのは、こういうわけです。

裁判官が判決の拠り所にする不動産の評価は、不動産鑑定士の作成した不動産鑑定評価書がいちばんですが、立証責任的には、遺留分減殺請求をする原告(当方の側)が不動産の価格について証拠を出すべき立場にあったので、証拠としての不動産鑑定評価書も原告であるこちらが費用を負担してやる必要がありました。

ところが、この案件は、大きめな賃貸マンションがいくつもあるというものだったので、その全ての不動産鑑定評価を不動産鑑定士に依頼すると相当に大きな金額になってしまうという事情がありました。そんな大きな金額を出してまで、こちら側が、不動産鑑定士に依頼したり、裁判所に鑑定申出をしたりしないだろうという思惑が相手方にあったわけです。

相手の思惑としては、「裁判官は、不動産鑑定評価書がなければ、この不動産はいくらだという断定をしにくい。かと言って、費用がかかりすぎるために、原告は不動産鑑定士に依頼をすることができないだろう。だったら、無理にでも低い査定額にこだわっていれば、原告は折れて、ある程度低い不動産の査定額での和解に応じるだろう。」というような感じです。

しかしながら、ここで相手方にとって予想外のことが起きました。

それは、リアルバリュー法律事務所が不動産鑑定業者であり、私が不動産鑑定士であったということです。そのため、相続財産である全ての不動産について、不動産鑑定評価書が、こちらから証拠として提出されました。

相手方は、この証拠を見て、「何じゃこりゃ」と思ったはずです。

当方が不動産鑑定評価書を証拠として提出した以上、相手方が無理な査定額を主張し続けていれば、裁判官が、不動産鑑定評価書に沿った判断をしてしまう可能性があります。

そのため、相手方も、反対証拠として不動産鑑定評価書を考えざるを得ず、裁判所に鑑定申出をしてきました(鑑定を依頼するのは裁判所ですが、鑑定報酬の負担は鑑定申出をした相手方になります)。

裁判所が不動産鑑定士に依頼して行った鑑定の評価額は、こちらから出した不動産鑑定評価書よりは低い価格のものが多かったですが、数字的には、十分に満足のいくものでした。したがって、結局は、私の依頼者の満足いく内容で、裁判上の和解をすることができました。

本件は、普通に不動産鑑定評価書の作成を不動産鑑定士に依頼していたら、相当な鑑定評価報酬がかかった事案ですが、当事務所が訴訟案件に付属的に不動産鑑定評価書を作成する場合は、格安で行っているので、依頼者への負担が小さく、不動産鑑定士資格を持つ弁護士に依頼してよかったと言っていただけました。

 

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