新・裁判例 家から夫を追い出した妻に対して、夫が「家は俺の所有物だから出ていけ」と請求した案件(令和2年6月15日掲載)

最高裁判所の判決を判例と言ったりしますが、

最高裁以外の裁判所の判決は裁判例と言ったりします。

東京地裁・平成30年7月31日判決

(判決要旨)

 「 建物を共有するX1(夫)とX2(X1の父)が、

  建物を占有するY(妻)に対して、

  各共有持分権に基づいて建物の明け渡し等を求めたのに対し、

   Yは、X1の建物の共有持分を夫婦の扶助義務に基づいて

  使用する権原を有するから、

  X1がYに対して、建物の明け渡しを求めることはできず、

   また、Yが共有者の一部の者であるX1との間で

  使用する権原を有する以上、

  X2がYに対して建物の明け渡しを求めることもできない。」

 共有とは、共同で所有しているということなので、ある物件の共有者であるということは、その物件の所有者であるということになります。

 この案件は、X1とYが夫婦、本件の建物とは、マンションの居室で、X1が10分の9、X2(X1の父)が10分の1の持分を有する共有物件でした。

 元々は、X1とYは、夫婦として、このマンション居室に居住していましたが、夫婦の関係が悪化し、Y(妻)がX1(夫)を入室することができない状態にして、Y(妻)が単独で居住するようになったという事案です。

 妻が夫を追い出して、夫所有の建物に一人で居住するようになったわけです。

 裁判所は、

 X1(夫)からの、Y(妻)に対する、「俺の所有物件から出ていけ」という請求については、

夫婦は、同居して互いに協力扶助する義務がある(民法752条

から、

夫婦が夫婦共同生活の場所を定めた場合に、その場所が、夫婦の一方(本件では夫)の所有する建物であるときは、その居住(本件では妻の居座り)が権利の濫用であると言えるような酷い場合でない限り、居住する権原があるとしました。

つまり、

妻が夫所有の建物に居住している場合、夫が「家は、俺の所有物だから出ていけ」と言えないことになります。

夫がどうしても妻に出ていってもらいたいなら、きちんと離婚手続をして、財産分与などをちゃんとやりなさいよということでしょう。

X2(夫の父)との関係では、

共有者は、所有者であり、所有者として共有物を使用できるので、他の共有者の一人が共有物を使用している共有者に対して、使用するなという権利はありません。そのため、X2は、X1が使用している場合に、使用を止めろと言うことができません。

そして、Yが共有者であるX1との関係で建物を使用している以上、X2は、X1に使用するなと言えないのと同じように、Yにも使用するなと言えないという判断をしました。

X2は、共有者なのに、X1側の人間が独り占めしていることに、どうしても文句があるなら、共有物の分割請求をするか、X1側が建物を独り占めしていることに対して、何らかの金銭的要求(損害賠償請求とか、不当利得請求とか)をするしかありません。

 

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